2024/03/01

【需要が増加!】高齢者向け施設の現状と木造で建築するメリットを解説!

高齢者 施設 木造

高齢化が加速している日本において、今後ますます需要が高まると考えられるのが高齢者向け施設です。木造の高齢者向け施設は、経営者にとって性能やコストの面でメリットがあるだけでなく、利用者にとっても精神面や身体面に良い影響があると言われています。
この記事では、高齢者向け施設の現状や、木造で建築するメリットの他、高齢者向け施設を経営するメリットと注意点について解説していきます。

高齢者向け施設とは?

高齢者向け施設と言えば、まず初めに老人ホームを思い浮かべる方が多いかもしれません。実際には、介護度合や提供するサービスによって、たくさんの種類があります。
それぞれの施設の特徴を以下の表にまとめました。

施設の種類特徴
有料老人ホーム食事や掃除、洗濯などの生活支援や、必要な介護、健康管理などを行う高齢者の居住施設。
グループホーム認知症の方が、少人数で共同生活を行う施設。
特別養護老人ホーム要介護度3以上の人が入所できる施設。
日常生活に必要な介護を受けることができます。
サービス付き高齢者向け住宅バリアフリー構造の賃貸住宅。
相談員が常駐し、安否確認や生活相談を行いながら、自宅と変わらない環境で生活ができます。
介護老人保健施設病院を退院した後、リハビリ目的で入所する施設。

 それぞれの施設によって、必要な設備やクリアするべき基準が決まっています。
高齢者向け施設を建築する場合、高齢者が移動しやすい導線や、バリアフリー設計など高齢者向け施設に特化した環境を整える必要があります。

高齢者向け施設の現状

高齢化が進む日本では、高齢者向け施設の需要が高まっている一方、施設の数は不足しているという現状があります。
それでは、具体的にどのくらいの供給不足が発生しているのか、見ていきましょう。

需要の高まり

まず、今後高齢者の数はどのように変化するのか、日本の人口の推移について、以下のグラフをご覧ください。

参照:国土交通省(高齢者の住まいに関する現状と施策の動向)

総務省は、2023年の高齢者人口について、75歳以上が過去最高の2000万人を超え、総人口の10人に1人が80歳以上になったと発表しました。
高齢者の割合は一貫して上昇を続け、85歳以上の人口は2060年まで増加を続ける見通しです。
今後ますます高齢者向け施設のニーズは高まっていくと言えるでしょう。

施設の不足

需要が高い高齢者向け施設ですが、その一方で、施設の数は不足しているという問題点があります。全国の介護施設等の供給過不足数の予測を見てみましょう。

参照:データから見た高齢者住宅・施設の需給バランス(田村委員提供資料)

※2020年のみ住宅型・サ付きを加算し作表
※需要数:2015年国勢調査による高齢者人口推移に要介護認定者割合を乗じた数値
※供給数:過去10年の供給実績の平均値

この表を見ると、2020年は、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅を加算して計算しているにも関わらず、25万棟の施設が不足していることが分かります。
その数は年々増え続け、2035年には100万棟以上もの施設不足が発生する見込みです。
高齢者向け施設の不足は深刻な問題であり、これを解消するために国や地方自治体は、高齢者向け施設の設備や運営に利用できる補助金制度を打ち出しています。

需要が高く、補助金制度も整ってきている今こそ、高齢者向け施設の建築を視野に入れるべきタイミングではないでしょうか。

木造で高齢者向け施設を建築するメリット

高齢者向け施設の建築を考える際に、どの工法を選択するか迷う方も多いかもしれません。実は、木造は木材が持つ特性から、高齢者向け施設の建築に適した工法であると言えます。
その理由をひとつずつ解説していきます。

工期が短縮できる

木造は、鉄骨造やRC造と比較して、工期が短いのが特長です。
高齢者向け施設の建築にあたって国や県から補助金を受けられる場合がありますが、交付を受ける条件として着工から事業完了までの期間が定められているものもあり、工期を遵守する必要があります。
参照:サービス付き高齢者向け住宅整備事業 応募について
施設を建築する場合、一般的な住宅と違って長い建築期間がかかります。不測の事態が発生した際には大幅な工期の延長が必要になることもあるため、比較的工期の短い木造は施設の建築に適していると言えます。

コストが抑えられる

木造は、他の工法と比べて建物の重量が軽く、地盤改良費や、基礎工事費などを抑えられる場合があります。また、減価償却期間がRC造の47年と比べて22年と短いため、事業期間が終了した際に、未償却分が残りにくい点もメリットです。

耐震性・耐久性に優れている

木材の引っ張りや曲げの強度は鉄やコンクリートに比べて非常に強いことが立証されています。また、木造の建物は軽量であるため地震の力が働きにくく、耐震性にも優れていると言えるのです。
近年では、木造の耐震性・耐久性の高さが見直され、高層ビルなどの大型建築物にも木材の利用が拡大しています。
木造アパートの耐震性については、こちらの記事でも解説しています。ぜひご参照ください。
参照:【強さはコンクリートの200倍!?】素材別の比強度をもとに「木造アパートの耐震性」を徹底解説!

断熱性能が高い

木材は、鉄骨やコンクリートよりも熱伝導率が低く、外の温度を伝えにくい性質があります。

近年の断熱性能の改良や、建築方法の改善も伴い、より断熱性能が高い建物を作ることが可能になりました。
広い空間を快適に維持するためには、冷暖房費も多くかかるため、施設における断熱性能の高さは、光熱費などのランニングコストを考えたときに重要です。
木造の断熱性についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
参照:木造のほうが断熱性が高いって本当?「温かい」木造アパートにするためには

脱炭素化社会に貢献できる

木造は、吸収した空気中の二酸化炭素を貯蔵する木材の性質や、建築時に発生する二酸化炭素の量が鉄骨造やコンクリート造と比較して少ない点が評価され、脱炭素化へ向けた取り組みの一環として注目されています。
国も木造建築に関する補助事業や、公共建築物等における木材利用推進法の改正を行い、建物の木造化・木質化を推進しています。

耐火性に優れている

高齢者向け施設は、防火区画の設置等、建築基準法に基づいて防火対策を行う必要があります。木は、燃えやすいというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は木材は耐火性に優れた素材です。
火災が起きると表面の木が燃えて炭化することで、木の内部まで火が燃え進むのを防ぐことができるのです。木材の防火性についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
参照:【木造は火事に弱いは古い?】今の木造アパートの耐火性とは?火災リスクに備えるチェックポイント4点

高齢者にとって心地が良い

木材が持つ温かみや香りは心を落ち着かせる効果があります。
さらに、木材は高齢者の転倒時に衝撃を吸収し、骨折など大けがのリスクを低減する効果が期待できます。木造の建物の居心地の良さをアピールし、他の高齢者向け施設との差別化を図ることもできるでしょう。

高齢者施設を経営するメリット

高齢者向け施設の運営は負担が大きいとお考えの方も多いと思いますが、土地所有者自らが高齢者向け施設の運営まで関わるのではなく、土地所有者が建物を建てて、介護事業者や社会福祉法人に貸し出して賃料を得る方法もあります。ここからは、土地活用の選択肢として高齢者施設を経営するメリットについて、解説していきます。

需要が高い

高齢化が進む日本では高齢者施設の需要は高く、利用者を獲得しやすいことがメリットです。利用者が集まれば、その分多くの収益を得ることができます。

高い収益が見込める

高齢者向け施設は、マンションやアパートと比較して利用できる世帯数が多いため、その分、得られる収益も高くなります。また、長期的に賃貸契約を結ぶため、収益が安定しやすい点も特長です。

国からの支援が受けられる

サービス付き高齢者住宅や、グループホームの建築には一定の基準を満たすことで補助金が得られます。 

補助金制度
グループホーム地域密着型サービス等整備費補助制度グループホーム整備促進事業基準額として75000千円、併設加算10000千円
サービス付き高齢者住宅サービス付き高齢者向け住宅整備事業工事費の1/10以内(上限120万円/1戸あたり
参照:サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要 (koreisha.jp)

さらに、サービス付き高齢者向け住宅の場合、1200万円までの不動産取得税の控除や、固定資産税を5年間2/3に軽減するなどの補助が受けられます。

社会貢献ができる

高齢者向け施設の経営は、社会貢献がしたいと考える方にとって、おすすめの事業です。これからますます、施設を必要とする高齢者は増えると考えられるため、高齢者向け施設の経営は社会問題解決の一助となります。
また、高齢者向け施設は自然の多い場所が好まれることもあり、地方に土地を持つ場合でも、社会貢献度の高い土地活用ができる点もポイントです。

ここまで、高齢者向け施設の経営について、様々なメリットを解説してきました。次に、注意すべき点についても見ていきましょう。

高齢者施設を経営する注意点

高齢者向け施設の経営を考えるときには、メリットだけでなく注意点についても知っておく必要があります。注意点とその対応策について、1つずつ解説していきます。

初期投資が必要

高齢者向け施設は大きな土地と建物が必要です。また、施設の建築には、消防法、老人福祉法、建築基準法等の法律が関係します。
入居者1人当たりの床面積や、食堂等共同スペースの確保、階数や床面積の規模に応じた耐火性能など、法律によって決められた基準をクリアする必要があり、その分費用がかかります。
施設の経営を行う前には、収益性について緻密な計画を立てるようにしましょう。

用途の転用が難しい

高齢者向け施設は、介護現場に特化した建物であるため、他の用途に転用がしにくい場合があります。事前に、地域の高齢者向け施設の需要や立地について調査するようにしましょう。
また、経営を介護事業者に任せる場合には、専門家のサポートを受けて信頼できる賃貸先を選定することも大切です。

介護保険制度の改定

提供する介護保険サービスの種類や、介護報酬について定められている介護保険制度ですが、定期的に改訂されることがある点を頭に入れておきましょう。
改定されると、新たなルールの追加や変更が発生するため、その都度柔軟な対応が求められます。

人材確保

高齢者向け施設を経営するためには、介護スタッフが必須です。
入居者の人数に応じて必要な介護士の人数が定められているため、人材の確保も課題となります。
ただし、建物を建てて貸出する方法であれば、介護事業所に経営を任せることができ、負担の少ない施設経営が可能です。

まとめ

木造の高齢者向け施設は、高齢者にとって居心地の良い環境を提供できるだけでなく、工期やコスト、性能などの面で、経営者側においてもメリットがあります。
高齢者向け施設は、軌道に乗れば安定した収益が見込めます。社会貢献がしたい、大きな土地を活用したいとお考えの方にも、選択肢の1つになるのではないでしょうか。
高齢者向け施設の経営を成功に導くためには、法律を遵守し、高齢者施設に特化した構造での建築を行う必要があります。検討事項が多岐に渡るため、経験に基づいた専門家のノウハウが必要です。

タカマツビルドでは、施設の建築に必要な要件や法律についてのサポートはもちろん、周辺環境や土地の広さ、今後の社会情勢などをふまえて最適な土地活用の提案が可能です。
高齢者向け施設の経営をお考えの方、土地の活用方法にお困りの方は、タカマツビルドまでぜひ一度ご相談ください。

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