2024/02/09

【強さはコンクリートの200倍!?】素材別の比強度をもとに「木造アパートの耐震性」を徹底解説!

木造アパート 耐震性

「木造は地震に弱い」というイメージをお持ちではありませんか?

実は、木材はコンクリートや鉄と比較しても強度が高く、地震の多い日本において最適な建築資材と言えます。

今回は、木造アパートの地震に対する不安を感じている方に向けて、「木材の強さ」や「木造建築の耐震性」についてわかりやすく解説いたします。

「鉄やコンクリートの方が頑丈じゃないの?」

「どうしてこんなに地震が多い日本で木造の建造物が多いんだろう?」

「今経営しているアパートが地震に耐えられるか心配になってきた」

このような疑問やお悩みを解消したい方は必見です。

この記事を読んで「木材」について理解を深めていただき、安心のアパート経営にお役立てください。

重量を考慮した強さを測る「比強度」とは

鉄やコンクリートは、ご存知の通り高層ビルなどに使用される強度の高い素材です。では、同じ重さあたりの強度を木材と比較するとどうなるでしょうか。

重さを考慮して素材の強度を表すには「比強度」を使います。

比強度  = 強度 ÷ 密度(体積あたりの質量)

実は、比強度でみると、木材は群を抜いて強く、軽量でありながらも高い強度を持つ素材なのです。

「木造で建てられるのは2〜3階までに低層住宅」という印象を持たれがちですが、決してそんな事はありません。

木造に鉄骨造や鉄筋コンクリート造を組み合わせた高層ビルにとどまらず、木造100%の高層ビルもすでに建設されています。

2022年3月には、高さ約44.1メートル、11階建ての純木造高層ビルが竣工しました。

技術力の向上とともに低層住宅から高層ビルまで広く利用されるようになり、木材は「軽くて強い建築資材」としてますます注目が集まっているのです。

「とはいえ、さすがに木材は鉄骨や鉄筋コンクリートに強さが劣るのでは?」と思う方も多いでしょう。続いて、木材の強さを数値でご覧いただきます。

木材の比強度はコンクリートの約200倍!

引張力(引っ張りの強さ)を例に取ると、木材(スギ)の強度は、なんとコンクリートの約200倍にもおよびます。

地震の揺れは、建物に対して大きな力を加えます。建物は、引っ張られたり押しつぶされたり、曲げられたりしても耐えなければいけません。

その点、日本で昔から建築に使用されている「木材」は、さまざまな力の加わり方に強い、優秀な建築素材です。日本の木造建築には、スギよりもさらに引張力の大きい「アカマツ」や「ヒノキ」などの種類も採用されています。この地震大国で、今現在も主要な建材として木材が用いられている理由はここにあるのです。

素材別で見る「比強度」の違い

続いて、比強度を素材別に見やすくした棒グラフをご覧ください。こちらのグラフでは、木材のサンプルとして「スギ」を基準としています。

各材料の引張強度

引用:地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 HPより

「引張強度」だけ見ると鋼鉄が最も強いように見えますが、引張強度を密度で割った「比強度」で見ると木材がいかに軽くて強いかお分かりいただけるでしょう。

以下、素材別の比強度を表にしました。

引張力圧縮力
木材
コンクリート

通常、コンクリートは単体で使用せず、鉄と組み合わせた「鉄筋コンクリート」として建築に使われます。それにより、コンクリートと鉄、互いの短所を補い合うことで強度を高めることができます。

木材は強度のバランスがとてもよい素材ですが、鉄筋コンクリートとの決定的な違いは「軽さ」にあります。

木材の魅力は「軽くて強い」こと

木材の特性である「軽さと強さ」は、木造アパートを建築するプロセスにおいて、たくさんのメリットをもたらします。例えば、重量が軽い木材は、運搬や作業のコストを抑える効果が期待できます。

鉄骨造の場合、建築資材である鉄骨の重量が重いことから、10tクラスの大型トラックでも充分な量の資材を積載することができません。

一方、木材は重量が軽いことから、4tクラスの中型トラックでも一定量の資材を運搬することが可能です。また、木材は隙間なく詰め込みやすいため、一度によりたくさんの木材を積載できます。

ある”ドラッグストア建設”を基準とした例では、躯体(骨組み)の運搬費用を比較すると、木造よりも鉄骨造の方が約2.5倍も高くなるという結果も出ています。
参照:岐阜県ホームページ ぎふ木造建築ポータル

さらに、資材の運搬に使用するトラックが比較的小型で済む木造建築は、狭い道路にしか接していない奥まった土地での建築の可能性を広げるというメリットもあります。

また、木材はその軽さから、施工時に取り扱いやすい素材とも言われています。木材を使用することで、建設作業の効率が向上し、工事期間の短縮にも繋がります。

短縮された期間分の人件費は、もちろん建築費用にも反映されるため、木造アパート建設全体のコストカットにも大きく寄与するでしょう。

耐震面における木造アパートのメリット

木造の建物は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べると重量が軽いとご紹介してきました。

実際に「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」で同じ平米数の住宅を建築したとします。驚くことに、鉄骨造の建物は木造の2倍、鉄筋コンクリート造においては木造の4倍もの重量があると言われています。

構造によってこれほど重量に差が出ることを、意外に思った方も多いのではないでしょうか。この木造の「重量の軽さ」が、耐震面においてとても大きなメリットになるのです。

建物自体が軽く地震力が働きにくい

「地震力」とは、地震が起きたときに建物が受ける横向き(水平方向)の慣性力です。静止しているものは静止し続け、動いているものは動き続けようとする力が働きます。

電車が急ブレーキをかけたとき、上半身は進行方向に前のめりになりますよね。これは、足は地面についていますが、上半身はそのまま進行方向に動き続けようとするためです。これと同じように、地震は建物に大きな横の力を加えます。

建物の質量(重量)が大きいほど、地震力は大きくなります。建物がずっしりとしているほど地震に強いイメージを持ちがちですが、重ければ重いほど地震力が強化されてしまいます。

木材を麦わら帽子に、鉄を鉄兜(てつかぶと)に置き換えてみましょう。それぞれを被って頭を激しく振るとなれば、当然重たい鉄兜の方がフラフラします。

つまり、乗っているものが重ければ重いほど、下が丈夫でないと支えられなくなってしまう(倒壊しやすくなる)のです。

また、建物重量が重いと、地震に耐えるために壁や床などを強固にする必要が出てくるので、余分にコストがかかります。

木材は鉄やコンクリートと比較して質量が小さいため、建物の総重量が軽く、壁や床の補強コストをある程度抑えることが可能です。そのため木材は、耐震面・耐震コストからみても「理想的な建築資材」と言えます。

まとめ

地震における木造アパートへの疑問や不安は解消できましたでしょうか?

地震の多い日本において、古くから採用されてきた木造建築。その強さは、技術の発展により「比強度」という数値でも証明されるようになりました。素材自体の強さだけでなく、その軽さから地盤に与える負担も少ないことから、大がかりな基礎や構造を必要としないケースが多くあります。

しかし、建築基準法が改正される前に建設された木造住宅が、未だ数多く残されていることも現状です。木材の強さを最大限に引き出し、安心して経営を続けていくためには、建替えも視野に入れていく必要があります。タカマツビルドでは、建築基準法以上を基本設計にしており地震に強い仕様になっております。

木造アパートについてもっと知りたいという方も、不動産経営を検討しているけれど構造などまでは具体的に決めていないという方も、まずは私たちタカマツビルドにお気軽にご相談ください。私たちは、オーナー様の20年後・30年後も資産価値のある木造アパート経営に寄り添ってまいります。

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