2024/01/26

木造のほうが断熱性が高いって本当?「温かい」木造アパートにするためには

木造 断熱性

木造とよく比較される鉄筋コンクリート。木造アパートは寒いというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実はコンクリートよりも木材の方が断熱性が高いのをご存じでしょうか?

気密性・断熱性を高めることで、木材が持っている性質を活かした快適な住環境を実現することができます。

この記事では、木造と鉄筋コンクリートの違いや、温かい木造アパートを作るために知っておくべきポイントについてまとめています。

本当に木造より鉄筋コンクリートの方が「温かい」?

木造よりも鉄筋コンクリートの方が温かいと言う声を耳にすることはありませんか?

確かに鉄筋コンクリートと木造の建物を比較すると、鉄筋コンクリートの方が、気密性が高いことが多いです。

これは、木造の建物は柱や壁、屋根と部位ごとに組み合わせて建築するのに対し、鉄筋コンクリートは型枠にコンクリートを流して固めるため、隙間が生じにくいという工法の違いによるものです。

しかし、コンクリートと木の材質の違いに着目してみると、コンクリートの方が熱伝導率が高いことから、断熱性は木材の方が高いといえます。

ここからは、木造と鉄筋コンクリートでどのような違いがあるのか、詳しく説明していきます。

キーワードは「熱伝導率」

寒い日にコンクリートを触るとヒヤッとしますよね。

これは、コンクリートの熱伝導率が高く、周囲の温度を伝えやすいという性質があるからです。

熱伝導率が高いコンクリートは、外気の冷たさを伝えやすいため、暖房を付けても部屋が温まるまでに時間がかかってしまいます。

一方、木は手で触れても、年中あまり温度の違いを感じません。木は熱伝導率が低いため、温度の影響を受けにくいのです。

そのため、木造の建物は熱しにくく冷めにくいという特長があり、一度部屋の空気を温めるとそのままの温度を持続させる効果があります。

木造は断熱性を高めるコストが低い

木は熱伝導率が低いため、外気の温度を内部に伝えにくいのが特長であり、断熱性は鉄筋コンクリートよりも木造の方が優れています。

そのため、木造の建物の場合は、壁や床に断熱材を充填することで、ある程度の断熱性を確保することができ、断熱にコストがかかりにくいです。

断熱材には硬質ウレタンフォーム、グラスウール、ロックウール、ポリスチレンフォームなど材質によって様々な種類があり、断熱リフォームをする際にも、施工する場所や用途に適した断熱材を選択することができます。

代表的な断熱材の特性については、以下の通りです。

硬質ウレタンフォーム・断熱性に優れる
・万一燃えると有毒ガスが発生する
・価格が高い
グラスウール・安価
・燃えにくい
・防音効果がある
・湿気対策が必要
ロックウール・燃えにくい
・撥水性が高い
・湿気対策が必要
ポリスチレンフォーム・結露を防ぎやすい
・施行しやすい
・熱に弱い
引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/pattern2_enshuzirei.pdf

一方、鉄筋コンクリートは熱伝導率が高く、外気の温度が内部に伝わりやすいため、寒い冬にはエアコンで温めた部屋の空気が冷えやすくなります。

鉄筋コンクリートの建物の断熱性を高めるには、断熱工事が別途必要になることもあり、費用も高額になることが多いです。

木造アパートが寒くなる理由

熱伝導率が低い木材は、熱しにくく冷めにくいという特長があるにも関わらず、なぜ「木造アパートは寒い」というイメージを持たれてしまうのでしょうか?

木造の建物が寒いと言われているのは、一昔前の工法によるものです。

昔の木造の建物は、在来木造工法と呼ばれる従来の建築方法で建てられていました。

これは、壁内に隙間を作って空気を循環させていたため、気密性が低く、隙間風が入ることで部屋が寒くなります。

そのため、築年数が経った木造アパートの場合、寒さを感じることが多いのです。

木造建築の技術や部材の改良に伴い、近年では、高層ビルにも木材が使用されるほど、木造建築の技術は進歩しています。

現在の木造建築は、新在来木造工法という、優れた気密性により断熱材の性能を最大限発揮できる建築方法が確立されています。

ここからは、建築方法の改善の他に従来の木造アパートが寒かった理由について、以下の項目に分けて詳しく解説していきます。

・ 窓から熱が逃げる

・ 蓄熱性能が低い

・ 玄関から冷気が入る

・ 床から冷気が入る

寒さの理由を知っておくことで防寒対策をすることもできます。

1つずつ見ていきましょう。

窓から熱が逃げる

窓の近くに行くと、冷気を感じるといった経験はありませんか。

窓は、外気と接しているため、熱の出入りが大きく寒さを感じやすい場所です。

特に、1枚の単板ガラスや断熱性の低いサッシを使用している場合は、暖房を付けても寒い、なかなか部屋が温まらない原因になることがあります。

断熱性の低い窓は、せっかく温めた部屋の空気の熱を外に逃がしてしまうため、部屋を適温に保つのが難しくなります。

その結果、冷暖房効率が悪く、エアコンをずっと付け続けることになり、光熱費がかさむというデメリットもあります。

蓄熱性能が低い

蓄熱性能とは、建物が昼間に太陽の日差しで温められた熱を蓄えることです。

蓄熱性能が高い建物は、日中の温かい空気を蓄えることで、夕方から夜間にかけての気温低下による影響を受けにくく、部屋の温度変化が緩やかになります。

鉄筋コンクリートと比較すると、木造の建物は蓄熱性能が低いため、寒い日には暖房で部屋を温める必要があります。

玄関から冷気が入る

玄関は、人が出入りするたびに温かい空気が外に逃げ、外の冷気が中に入ってくるため、どうしても玄関周囲は寒くなりがちです。

アパートの場合は、玄関とリビングの間に廊下が無い場合や、距離が短い場合が多いです。

また、玄関とリビングの間に扉や仕切りが無い場合も、玄関からの冷気がそのままリビングに流れ込み、部屋が冷えてしまいます。

床から冷気が入る

木造の建物は、柱や壁など異なる部位の材料を組み合わせて建築するため、古くなると木材の乾燥収縮などにより、隙間が開いてくることがあります。

そのわずかな隙間から部屋の中に冷気が入ってくると、暖房で温めた空気が冷やされ、部屋の温度を下げてしまう要因になります。

通常、木造の建物は床材の下にも断熱材が敷かれていますが、1階の場合には地面からの冷気が伝わってくることもあります。

また、温かい空気は上へ、冷たい空気は下へ溜まる性質があるため、床が冷えると暖房を付けていても足元が温まりません。

足元が冷えると体の芯まで冷えてくるため、実際の部屋の温度よりも、寒いと感じることがあります。

木造アパートの寒さを軽減するには

寒さ対策を考える場合、断熱等性能等級についても知っておく必要があります。

断熱等性能等級とは、「外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度」を表したもの。

断熱性の高さはUa値というもので数値化することができます。

Ua値の数値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性の高い家ということになります。

住宅性能表示制度
(引用元:230202_住宅性能表示制度pamphlet(新築)原稿案_v18 (mlit.go.jp) )

従来は断熱等級4が最高等級でしたが、2022年に断熱等級5.6.7が新設され、現在では1~7の7段階になりました。

年々暑さ寒さが厳しくなってきている昨今、これまでより高い断熱性能が求められる時代になってきているのです。

現在では、窓やサッシ、断熱材などの設備も高性能なものが多く登場しています。いくつかの防寒対策を組み合わせることで、大きな効果を発揮することができます。

窓の断熱性能を上げる

窓は、家の中でも空気の熱を奪いやすい場所であり、性能の低い窓の場合、冷気や隙間風などを感じることもあります。

冬場、窓などの開口部からの熱の流失割合は58%とも言われており、熱の出入りが大きい窓の断熱性能を上げることは、有効な防寒対策と言えます。

(引用元:経済産業省 資源エネルギー庁

例えば、今ある窓の内側にもうひとつ窓を取り付ける「2重窓」を導入することで、窓と窓の間に空気の層ができ、断熱性が上がります。

窓周囲の隙間から冷気が侵入してくるのも防ぐことができるため、防寒に大きな効果を発揮します。

また、断熱性の高いサッシや複層ガラスの窓を採用することでも、快適性をアップできます。

複層ガラスの窓とは、ガラスを複数枚重ね、その間に空気やガスを封入した窓のことで、ガラスの性能やガラスの間に封入するガスの種類によって断熱性が変わります。

3枚のガラスを重ねたトリプルガラスというものもあり、樹脂製のサッシと組み合わせることで、より高い断熱効果を発揮します。

性能の高い窓を採用すると、結露がしにくくなる、防音性や防犯性がアップするなど寒さ対策以外の効果も期待できますよ。

パッシブデザインを取り入れる

パッシブデザインとは、太陽の熱や光、風などの自然のエネルギーを取り入れた建物の設計手法のこと。

例えば、太陽光がたっぷりと入る間取りにして日射熱を室内に取り入れる、常緑樹を植えて冬の季節風を遮断するなどの工夫をすることで、寒さを和らげる効果が期待できます。

特に、南側に窓を取り付けて十分な日射熱を取り入れることができれば、午前中から日没まで家の中でも太陽の熱を感じることができます。

また、一定の断熱性能を備えた建物にすることで、日中の太陽によって温められた室内の空気を夜にまで持続させ、エアコンの稼働時間も短縮することができます。

有効なパッシブデザインを取り入れるには、建物が建っている周囲の環境を確認することが大切。

季節によって太陽の陽が入る角度なども変わってくるため、シミュレーションを行ったうえで、窓の向きや庇の長さなどを工夫するようにしましょう。

「高気密・高断熱」設計にする

木造建築の技術の進歩により、気密性・断熱性に優れた木造の建物が増え、昔のような寒いというイメージの木造アパートは少なくなってきました。

また、断熱材なども性能が改善され、冬は温かく、夏は涼しい快適な住環境を作ることが可能となっています。

気密性・断熱性を高めることは、快適さだけでなく、健康面や費用の面でもメリットがあります。

断熱性が低い家の場合、部屋の温度差が大きいことによって心肺停止を引き起こす「ヒートショック」を起こす恐れが指摘されています。

断熱性能が高い家は室温が一定に保たれるため、ヒートショックを起こしにくいと言えます。

また、断熱性が高いと、冷暖房効率が良くなり、光熱費を抑えることができます。

光熱費は、家に住み続ける限りずっとかかってくる費用です。

気密性・断熱性を高めるために初期費用がかかったとしても、長期的に見ると費用の面でもお得な場合があります。最適なものを選ぶことで、より快適な木造アパートを作ることができます。

まとめ

寒いイメージを持たれることもある木造アパートですが、本来、木は断熱性が高く、外気の温度を中に伝えにくい性質を持っています。

また、複層ガラスの窓や高性能な断熱材の登場といった設備面での技術進歩も木造建築の断熱性向上を後押ししており、パッシブデザインや「高気密・高断熱」設計を取り入れることで、木造の建物でも快適な環境を作ることが可能となっています。

しかし、築年数が経っている木造アパートは気密性が低いことも多く、冬は暖房を付けていても寒さを感じることは避けられません。

「先進的窓リノベ2024事業」のように賃貸のリフォームで利用できる補助金などもありますが、部分的なリフォームを繰り返していくよりも、最新の設計基準や設備を採用できる「建て直し」を選択する方がおすすめです。

初期費用は掛かりますが、寒さ対策が施された快適な木造アパートは入居者に人気があり、他の木造アパートとの差別化を図ることもできます。

アパートの断熱性は年々向上しており、タカマツビルドでも独自の仕様を備えて、断熱対策を行っております。最新の情報を随時取り入れて対応しておりますので、ご興味のある方はぜひ一度ご相談ください。

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