2024/04/05

【木造建築】東日本大震災の住宅復興を推し進めた木の魅力

東日本大震災 木造 アパート

東日本大震災から13年が経ちました。この間も、2016年に発生した「熊本地震」や2024年に発生した「能登半島地震」など大きな地震が続いており、日本に住んでいる限り地震とは切っても切れない関係であると言えます。

当然、災害による建物被害を心配する方も多いでしょう。しかし、建物の耐震基準は震災が起きるたびに何度も見直されて、より厳格な基準へと改正されています。

被災者の方々が安心して住み続けることができる住宅を建て直すことは、個人の生活の再建だけでなく、社会全体の復興にもつながります。

今回は、東日本大震災をはじめとした災害の復興にも貢献した、木造建築の利点と魅力について詳しく解説してまいります。

建物被害の大きさに「耐震性」が大きく関係

地震によって受ける被害は、建物によって様々です。しかし、その被害の大きさは、建物の耐震性に大きく関係しています。

耐震性が高い建物は、地震による被害を最小限に抑え、人命や財産を守る役割を果たします。では、東日本大震災における建物被害は、耐震性によってどのように左右されたのでしょうか。

東日本大震災における木造建築物の被害実態

東日本大震災では地震の揺れによる建築物の倒壊は少なく、倒壊した建物約13万棟のうち約12万棟が津波によるものであったことが国交省の調査で明らかにされました。

1995年の阪神・淡路大震災において、窒息・圧死による死者数は4,224人であり、同震災による死因の77.0%を締めています。このときに倒壊した木造建築物は、築年数が古く老朽化しているものが多かったことがわかっています。

一方、東日本大震災では窒息・圧死による死者数は、667人であり、同震災による死因の4.2%にとどまりました。これは、阪神・淡路大震災の教訓を生かした耐震基準の改善が功を奏した結果とも言えます。

「耐震基準の改善」はどのように行われたか、具体的に見ていきましょう

参考:一般社団法人 兵庫県医師会公式ホームページ 阪神淡路大震災による人身被害の実態
参考:警察庁『平成24年 警察白書』大規模災害と警察~震災の教訓を踏まえた危機管理体制の再構築~ 14頁

耐震基準とは

耐震基準は、大地震が起こる度に現行の基準の妥当性が見直されてきました。耐震基準とは、建物が一定の強さの地震に耐えるための最低限の基準です。この基準は、建築基準法により人命の安全確保を目的として定められています。

耐震基準改正の流れ

耐震基準の改正の流れは以下のようになっています。

旧耐震基準1950年 建築基準法制定
1978年 宮城県沖地震(M7.9 )
新耐震基準1981年6月 建築基準法施行令大改正
(宮城県沖地震を契機にした耐震基準の見直し)

1995年 阪神淡路大震災 (M7.3 )
2000年基準2000年6月 建築基準法改正
(阪神淡路大震災を契機にした耐震基準の見直し)

現行 耐震基準の住宅

旧耐震基準

1981年5月31日以前の建築確認で適用されていた基準です。旧耐震基準では、震度5程度の中規模地震による揺れに対して、建物倒壊・崩壊しないことを基準として設定されています。

極めてまれにしか発生しない震度6強から震度7程度の大規模地震に対しては、規定がありませんでした。

しかし2016年の熊本地震以降、全国で6回もの震度6強以上の地震が発生しています。旧耐震基準で建てられた家は、老朽化もあいまって、地震に耐えられない不安があります。

新耐震基準

新耐震基準とは、1981年6月1日以降の建築確認で適用された基準です。新耐震基準では、震度5強程度の中規模地震に対して建物がほとんど損傷せず、震度6強〜7程度の大規模地震に対して建物が倒壊・崩壊しないことが求められます。

2000年基準(現行耐震基準)

2000年基準とは、6月1日以降の建築確認で適用された基準です。1995年の阪神淡路大震災を受けて制定された基準で、以下のようなポイントが強化されています。

地盤に応じた基礎の設計
2000年基準では、地耐力(地盤が建物の荷重に耐えうる力)に応じて基礎設計を行うことが求められるようになりました。これは、実質上、地盤調査が義務化されたということを意味します。その結果、正しい基礎工事や必要な地盤改良工事が実施され、建物の安全性がより高まりました。

構造材の接合部の金具取り付け
新耐震基準では、柱や梁などの接合部で使用する金物の種類が指定されました。これは、阪神・淡路大震災で倒壊した建物の多くが「ホゾ抜け」が原因だったことに基づいています。※ホゾ抜けとは、地震などの揺れによって、ホゾという柱の突起部分が土台の穴から飛び抜けてしまう現象です。

耐力壁の配置バランス
新耐震基準では、耐力壁(地震や台風などの水平方向の力に耐えるための壁)をバランスよく配置することが定められました。これにより、地震などによる力が弱い部分に負荷が集中し、変形やねじれを起こすことを防ぐことができます。

耐震等級とは​​

つづいて、耐震基準とよく似た用語「耐震等級」について解説します。

「耐震基準」は人命を守る基準であるのに対し、「耐震等級」は人命に加えて建物自体も守る基準です。そのため、被災後も住み続けられる建物にするには、耐震等級にも注目する必要があります。

耐震等級は2000年に定められた「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に基づいて制定されたもので、地震が起きたときの倒壊のしにくさや、損傷のしにくさを3段階の等級で表しています。

耐震等級1

耐震等級1は、建築基準法で定められた「新耐震基準」を満たすレベルの基準です。耐震性の最低基準となります。

耐震等級2

耐震等級2は、「耐震等級1」の1.25倍の耐震性があることを示します。長期優良住宅の認定基準となります。

耐震等級3

耐震等級3は、「耐震等級1」の1.5倍の耐震性があることを示します。耐震性能を表す耐震等級の中で最も高いレベルです。 数百年に一度発生するような大きな地震を受けても軽微な修繕のみで住み続けられる想定に基づいています。

住宅の復興において「木造」が注目される理由

このように日本では、大地震が発生するたびに建物の耐震基準が見直され、安全性を高めるためにより厳格な基準に改正されてきました。

2024年1月に発生した能登半島地震において「現行の2000年基準を満たす建物」はほぼ無傷であったことからも、本来木造建築は地震に強いことが明らかです。

日本政府の方針としても、被災した建物の再建や地震に強い住宅への建て替えに「木造建築」を促進しています。その背景にある「木材の優れた性能」も、具体的に見ていきましょう。

木材の優れた性能

木材の優れた性能で、特筆すべきポイントは以下の4点です。

強度が高い

木材は軽量にもかかわらず、驚くほどの強度を持つ建築資材です。特に、地震の揺れにより生じる「引張」、「圧縮」、「曲げ」といった様々な力に対して、木材はバランスよく対抗することができます。

そのため、適切な設計と施工により、木材で非常に強固な建物を構築することが可能です。

断熱性が高い

また、木材は熱伝導率が低い素材です。木の繊維はパイプのようになっており、そのひとつひとつに空気が満たされています。

そのため、木材は断熱性に優れ、冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことができます。冷暖房の使用を抑えるのに役立つ、経済的で環境負荷の少ない資材です。

調湿性が高い

木材には、湿度が高い時には湿気を吸収し、空気が乾燥している時には水分を放出して湿度を調整する能力があります。この特性により、建物の劣化や健康への悪影響を招く「結露」が発生しにくくなるのです。

耐火性が高い

実は、木材には燃焼するスピードが遅いという特性があります。木材に着火すると、表面に「炭化層」が形成されます。

炭化層は熱を伝えにくくし、内部へ酸素を供給するのを阻む役割を果たします。そのため、万が一火災が発生しても建物が短時間で焼き崩れることがありません。その間に消化活動にあたることができます。

このように、強度だけでなく、耐火性や住宅としての住みやすさを叶えるという点からみても、木材は大変魅力的な素材といえます。

木造建築のメリット

木材の利点を活かした木造建築は、機能性と快適な住み心地を兼ね備えた住まいを実現します。木造建築のメリットには以下のようなものがあげられます。

耐震性が高い

建物の重量は軽ければ軽いほど地震の影響を受けにくいため、鉄やコンクリートよりも単位あたりの重さが軽い木材は、非常に優れた建築資材です。

過去の震災の教訓を活かした最新の建築技術により、木造建築はますます耐震性が向上しています。
木材の耐震性については、以下で詳しくまとめていますので合わせてお読みください。
【強さはコンクリートの200倍!?】素材別の比強度をもとに「木造アパートの耐震性」を徹底解説! 

低コストで建築可能

木造建築が低コストで建築可能な理由として、以下のことがあげられます。

・木材自体が鋼材やコンクリートと比べて安い
・木材は軽量であるため運搬費用が比較的安い
・工期が短いため人件費が少なくすむ

出来るだけコストを抑えたいときや工期をなるべく短くしたい場合に最も適した構造といえるでしょう。 

間取りの自由度・可変性が高い

木造建築の中でも「木造軸組工法」は、間仕切り壁の移動など、間取りの自由度や可変性が高いという特徴があります。

そのため、地域の気候や文化に合わせた設計、家族構成やライフスタイルの変化に伴うリフォームなどが可能です。

日本の豊富な森林資源を活用可能

日本の豊富な森林資源を活用することは、森林の保全につながります。戦後に植林された人工林がすでに木材として活用できるまでに成長しているため、適切に伐採することが必要です。

人工林は、手入れを怠ると荒廃します。二酸化炭素の吸収量の減少や貯水能力の低下、生物多様性の喪失などが生じる可能性があるため、木を建築資材として活用することは非常に重要です。

復興住宅にふさわしい木造の利点

ここまで木材の性能や木造建築のメリットを見てきましたが、「被災地の住宅の復興」という特殊な条件下においても、木造建築は多くの利点を発揮します。

スピーディな建設

被災地域では、住宅の早急な再建が求められます。先述の通り、木造建築は木材が軽量であることや施工の容易さから、比較的短期間で建築を完了させることが可能です。 これにより、被災した方々の生活を早期に安定させることが可能となります。

木は人にやさしい

木は、人の心や体にもやさしい建築資材です。多岐にわたる木の効果をいくつか例にあげてみます。

リラックス効果
木の香りフィトンチッドと呼ばれる材内の精油成分)や木目には、私たちの心を穏やかにし、ストレスを解消する効果があります。

刺激をやわらげる効果
木材には紫外線を吸収する性質があります。また、木材の表面の凹凸により光自体が反射しにくいため、目にやさしい建築資材です。さらに木材は、音も適度に吸収することもわかっています。

ダニの防除効果
ヒバやヒノキの香りに含まれる成分「ヒノキチオール」は、ダニの防除に効果的であることがわかっています。

参考:林野庁ホームページ「木材利用の促進について」 

震災を経験すると、精神面にも大きな負担を抱えることになります。少しでも癒しを得て安心した生活ができるように、このようなメリットも考慮されています。

地域コミュニティの再生

復興においては、建物の再建などのハード面だけでなく、地域のコミュニティの再生といったソフト面も重要です。住宅にも「人と人のつながりのもちやすさ」が求められます。

例えば、テラスを備えた家。室内に上がらない気軽さが、近隣の人とのコミュニケーションを取りやすくします。

共同住宅であれば、空間を共有してゆるやかにつながる「コレクティブハウス」は、一般的なアパートよりもコミュニティを形成しやすい住居の一形態です。

これらの住宅は、地域のコミュニティ再生や、人と人のつながりを深める助けとなります。とくに木造ですと、その温かみや居心地の良さがコミュニティ形成に良い影響を与えることが期待されます。

地域資源の活用

復興住宅の建築に地域の木材を活用することは、地域経済を活性化し、雇用の創出を促進するだけでなく、資材輸送における省エネルギー効果も期待できます。

木造の魅力はアパート経営においても輝きます

今回の記事をまとめると、以下の通りです。

・被災地の住宅の復興においても積極的に取り入れられるほど、木造建築の魅力が注目されている。
・木造建築は、適切な耐震基準と耐震等級で設計・施工することで非常に高い耐震性を持つ。
・木材は強度だけでなく調湿性や耐火性も高い優れた建築資材である。
・木造建築は経営者様、入居者様、そして環境にとってもメリットが大きい。

たくさんご紹介いたしましたが、まずは土地活用や不動産経営に、「木造」という選択肢を加えてみてもよいのではないでしょうか。

土地活用・不動産経営に関するご相談は、是非、タカマツビルドへお気軽にお問い合わせください。

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