2024/03/29
【断熱材はどう選ぶ?】断熱材の種類と特徴、断熱性能を高めるメリットについて解説!
近年、建物の断熱等級について新基準が設けられたのをご存じでしょうか?以前よりも高い断熱性が求められるようになっているため、建物の断熱性能について気になるという方も多いのではないでしょうか。
建物の断熱性能を大きく左右する断熱材は、住む人の快適さだけでなく、コスト面、健康面にまで影響を与える重要な材料です。
今回は、断熱材の種類と特徴、建物の断熱性を高めるメリットについて解説していきます。
断熱材の重要性
断熱とは、建物の内部に断熱材を入れて屋内と屋外の熱の移動を遮断し、夏は涼しく冬は温かい住宅を作ることです。
住宅の断熱性を高めると、エアコン効率がアップし、省エネで快適な室温が維持できるため、光熱費削減に繋がります。また、断熱効果の高い住宅は結露しにくく、建物へのダメージが抑えられるというメリットもあります。
断熱性能の高い建物を建築するためには、使用する断熱材選びが重要です。主な断熱材についてそれぞれ特徴をみていきましょう。
断熱材の種類と特徴
断熱材にはたくさんの種類がありますが、今回はグラスウール、ロックウール、発泡ウレタン、発泡プラスチックの4種類の断熱材について詳しくご紹介します。
それぞれの特徴をまとめましたので、以下の表をご覧ください。
名称 | 素材 | 特徴 |
グラスウール | ガラス | ・低コスト ・断熱性、耐火性、耐久性、吸音性が高い |
ロックウール | 岩 | ・吸音性能、耐火性が高い |
発泡ウレタン | ウレタン樹脂 | ・断熱性、耐久性が高い |
発泡プラスチック | ポリエチレン樹脂 | ・断熱性、防音性、耐水性が高い ・加工がしやすい |
それぞれ使用する原材料や、特徴が異なるため、天井、壁、床など施工する場所によって、適切な断熱材を選択する必要があります。
順番にご紹介していきます。
グラスウール
グラスウールは、ガラスを繊維状にしたものです。他の断熱材よりも比較的低価格でコストパフォーマンスが良いため一般的に使用されることが多い断熱材です。
厚みがあるものを使用することで、高い断熱性を発揮することができます。
また、ガラスが原料であるため燃えにくく、万が一の火災の際にも有害物質が発生しません。経年変化が少なく、耐久性に優れている点や、音を吸収する吸音性能を併せ持っている点もポイントです。ただし、耐水性は低いため、水に濡れないように注意が必要です。
ロックウール
ロックウールは、岩石など鉱物を原料とした断熱材です。
吸音性に優れているため、音漏れを防ぐ目的で、音楽スタジオ等の壁に使用されることがあります。また、耐火性が高く、万が一の火災への対策としても効果的です。
デメリットとしては、水に弱いことと、比較的コストが高くなる点が挙げられます。
参考資料:ロックウールとは?メリット、デメリット、危険性について解説する | 施工管理・転職の窓口|施工管理のキャリアを+1するメディア
発泡ウレタン
発泡ウレタンは、ウレタンにフロンガスなどの発泡剤を混ぜて作られた断熱材です。内部に無数のガスを閉じ込めているため、断熱効果が高く、軽量で施工がしやすい点がポイントです。また、高い耐水性により雨漏りにも強いと言えます。
難燃性素材ではあるものの、グラスウールやロックウールと比較すると燃えやすい点には注意が必要です。
参考資料:発泡ウレタンの断熱素材の特徴や断熱性能・施工費用を解説 – 省エネ・断熱・太陽光リフォームの基礎知識 – ハピすむ
発泡プラスチック
プラスチックを発泡させて作る断熱材です。内部にたくさんの空気を含み、高い断熱性と防音性を兼ね備えています。また、水にも強いので結露による劣化の心配も少ないです。軽くて加工がしやすく、施工場所に合わせて厚みやサイズを自由に形成し、ぴったりフィットさせられる点もメリットです。
デメリットは、グラスウールと比較するとコストが高いことや、耐火性が低いことが挙げられます。
断熱材の選び方
種類によって性質が異なる断熱材ですが、選ぶ時には何を基準に考えるのが良いのでしょうか。
ここからは、断熱材を選ぶ時に考えるべき性能について解説していきます。
断熱性能
断熱材の断熱性能は、使用する材料の熱伝導率によって決まります。熱伝導率とは、その素材がどのくらい熱を伝えやすいかを表すものです。
つまり、断熱材においては熱伝導率が低ければ低いほど外の気温を遮断することができるため、断熱性能が高いと言えます。
参考資料:熱伝導率・熱容量とは?その数値と断熱材との関係をご紹介! | 断熱施工の専門業者 西日本エコ断熱株式会社
耐火性能
万が一の火災に備えて耐火性があるかどうかも重要な要素です。燃えにくい断熱材を使用することで、部屋から部屋へ炎が壁を突き抜けて燃え広がるのを防ぐ効果が期待できます。
また、燃えたときに有害物質を放出しない素材であるかどうかもチェックするべきポイントです。
防音性能
アパートでの騒音問題はトラブルのもと。できるだけ防音効果の高い建物を建築する必要があります。
防音対策としては、遮音壁や遮音ボードと呼ばれる石膏ボードを使用する方法がありますが、併せて、防音性に優れた断熱材を使用することで、より高い防音効果を発揮します。
たとえば、アパートを建築する場合、床に防音性に優れた断熱材を使用すると、上の住民の足音や生活音を軽減する効果が期待できます。また、車通りの多い場所に建物を建築する際にも断熱材の持つ防音性が役に立つ場合があります。
断熱材の取り付け方法
断熱材の主な取り付け方法は以下の3つです。
・充填法
・外張り工法
・吹込み工法
それぞれの工法について解説していきます。
充填工法
住宅の壁や天井、床の柱の間に断熱材を敷き詰めて、断熱材の層を作り、建物内部が外気温の影響を受けないようにする方法です。木造の断熱工法の中でも一般的に用いられる断熱工法であり、柱同士のスペースを活かして厚みのある断熱材を入れられる点がメリットです。
断熱材と柱の間に隙間が開くと断熱性が下がってしまうため、形が複雑な箇所は隅々まで断熱材をしっかりと充填し、隙間ができないように気をつける必要があります。
外張り工法
建物の外側に断熱材を施工する方法です。隙間なく断熱材を施工することができ、高い断熱性を発揮します。
また、構造体が外気温の影響を受けないため、建物の耐久性維持にもつながります。しかし、構造躯体を断熱材で覆うため材料費用や施工費用が高くなる点には注意が必要です。
吹込み工法
壁や天井の隙間に綿状または粒状の断熱材を吹き込んで断熱層を作る工法です。障害物の多い部位にも隙間なく充填することができます。注意点としては、水に弱いことと、施工後乾燥させる必要があり、施工時間がかかることが挙げられます。
断熱等級って?
建物の断熱性能を表す指標には、国土交通省が定めた「断熱等性能等級」があります。断熱等級は、2022年3月末までは、1~4の4等級とされてきました。しかし、同年4月に断熱等級5、6、7が新設され、さらに2025年4月からは全ての新築に等級4以上が義務付けられることが決定しました。つまり、2022年まで最高等級であった等級4が2025年からは最低基準になるということです。
断熱等級4は「熱損失などの大きな削減のための対策(建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令に定める建築物エネルギー消費性能基準に相当する程度)が講じられている」と定義されています。
また、今までは、断熱等級6、7は戸建て住宅にのみの適応でしたが、2022年からは共同住宅等についても等級6、7を創設することが決定されました。
環境問題への取り組みとして政府が省エネ化を進めている背景もあり、今後ますます断熱性能の高い建物が求められるようになる
でしょう。
参照資料:国土交通省(日本住宅性能表示基準等の改正について)
断熱性が高いとどんな効果がある?
建物の断熱性能が高いと具体的にどんな効果があるのでしょうか。順番に解説していきます。
快適に過ごせる
断熱性が高い建物は外気温の影響を受けにくく、室内の温度が一定に保たれるため、1年中快適に過ごすことができます。
同じ室温でも足元が寒いと、体感温度が低く感じられる場合がありますが、天井や壁はもちろん、床にも高性能な断熱材を使用することで、足元からの冷えを緩和できます。
ヒートショックのリスクを減らせる
ヒートショックとは、急激な温度差によって心肺停止を引き起こすもので、特に冬の浴室で発生することが多い現象です。
断熱性が低い建物は、暖房をつけている部屋以外は室温が低く、部屋ごとの温度差が激しいくなります。
リビングは温かいのに、浴室は震えるほど寒いという場合、身体への負担が大きく、ヒートショックを引き起こしやすくなります。断熱性が高い建物の場合は、家の中全体の温度差が少なく、ヒートショックのリスクを軽減できます。
光熱費を抑えられる
高断熱の建物は、エアコンで調整した適温の空気を逃がさず冷暖房効率が良いため、光熱費が抑えられます。エアコンの稼働時間を減らすことができ、省エネルギーで環境にも優しい建物だと言えます。
断熱性が高く、光熱費を抑えられるアパートは入居者からの人気も高く、物件の価値のアップに大きく貢献するでしょう。
補助金制度を活用できる
断熱性能が高く、一定の基準を満たした住宅は、「ZEH」に認定されます。「ZEH」とは、住宅の高断熱化と設備の効率化で住宅におけるエネルギー量を削減しながら、太陽光などを使ってエネルギーを作り出すことにより、年間の消費エネルギーの収支をゼロにすることを目指した住宅のことを指します。
政府も住宅のZEH化を推進しており、ZEHに認定されると補助金制度を活用することができます。
たとえば、集合住宅を対象にした補助金として「ZEH-M(ゼッチ・マンション)補助金」があります。これは、低層ZEH-M促進事業、中高層ZEH-M支援事業、超高層ZEH-M実証事業の3種類の事業について、ZEH基準を満たした場合に支給される補助金です。
集合住宅のZEH化にはコストがかかりますが、ZEH-Mを取得すると快適性や省エネ性物件として付加価値が高まり、他の物件との差別化にも繋がります。住宅のZEH化は国も力を入れている分野なので、制度や補助金について今後も注目しておきましょう。
まとめ
断熱材の種類と選び方、断熱性を高めるメリットについて解説しました。
断熱材にはそれぞれに特徴があり、使用する箇所に応じて最適な断熱材を使用することで、高断熱な建物を作ることができます。また、断熱材を選ぶときには、断熱性能はもちろん、耐火性能や防音性能についても考えることがおすすめです。
断熱性能の高い建物は快適性だけでなく、毎月かかる光熱費や将来のメンテナンス費用、さらには入居者の健康にまで影響を及ぼします。資金計画を立てるときには、ランニングコストも考慮したうえで、どの程度の断熱性能を目指すのかを検討するようにしましょう。
タカマツビルドでは、将来のメンテナンスや改修費用の見込みなども考慮に入れた事業計画を立て、資産価値を長期にわたって維持できるようにトータルサポートを行っています。
アパート経営や土地活用を検討中の方は、ぜひ私たちタカマツビルドまでお気軽にご相談ください。
オーナー様のニーズに寄り添った経営をご提案してまいります。