2024/05/10
【入居者の理想の住まいを実現!】ライフスタイル別の住宅需要について解説!
アパート経営を始めるとき、だれもが「入居者に人気のアパートを建てたい」と考えますよね。アパートにもさまざまな種類がありますが、住む人のライフスタイルによって、求められる間取りや環境、設備は異なります。
人気のアパートにするためには、ターゲットとなる入居者層のニーズに合わせたアパートを建築する必要があります。
さらに、間取りを考える場合には、建築動機やエリア需要、さらには所有する目的などを考慮しておくべきです。この記事では、シングル、ファミリー、シニア、ペット飼育の4つのライフスタイル別に、どのような住環境が求められるのかを解説します。
ライフスタイルによって変わる快適な住環境
住む人の家族構成やライフスタイルによって、快適だと感じる環境は大きく異なります。
たとえば、シングル向けにコンパクトな間取りや設備を揃えた場合、単身者には快適でも、ファミリーやシニア層には不十分だと感じられる可能性があります。シングル、ファミリー、シニア、ペット飼育者の4種類のライフスタイルに合わせたアパートの特徴について、順番に見ていきましょう。
シングル向け住宅の需要とトレンド
シングル向けの住宅は、コンパクトな設備やセキュリティ面の強化が求められることが特徴です。シングルの場合、大きすぎるキッチンや洗面台は掃除が大変だと感じる方も多いため、ハイスペックな設備はあまり求められないことが多いでしょう。
一方、オートロックやTVモニター付きインターフォン、防犯カメラなど、セキュリティ面の強化設備については需要が高い傾向があります。不審者の侵入や空き巣への対策が施されていることは、入居者の安心感につながります。その他、防犯ガラスやシャッター、宅配ボックス、室内用物干などの設備も人気です。
シングル向けアパートの経営面でのメリットは、1部屋あたりの面積が狭くて済むため、限られた敷地内でも戸数を多く作れることです。戸数が多ければ、月々の家賃のほか、礼金、駐車場代金などの収益が見込めます。
近年では、複数人で生活するシェアハウスもトレンドです。シェアハウスとは、共有スペースとプライベートスペースが分離した間取りで、自分の部屋以外のリビングやキッチン、浴室などを他の入居者と共有して生活する住宅を指します。家具や電化製品などを個人で所有する必要がなく、入居者にとっては金銭負担が少ないというメリットがあります。シェアハウスを経営する場合は、広めのキッチンや、収納スペース、複数のトイレなどが必要になります。
ファミリー向け住宅のニーズ
ファミリー向け住宅は、ある程度の広さと子育てがしやすい環境が好まれます。
2LDK以上の広さがあると、子どもが増えたり将来両親と同居したりなど、家族構成の変化にも対応できます。また、学校や駅までの距離が遠すぎないか、公園や病院が近くにあるか、駐車場のスペースが十分に取れるかなど、アパートの立地や周辺の環境チェックも重要です。
さらに、家族とのコミュニケーションが取れる対面キッチンや、家族全員の物が収納できる大容量のクローゼット、ベビーカーや家族の靴を片付けられる広めの玄関なども人気があります。
ファミリー向けアパートは、単身者向けに比べて広い面積が必要になるため、アパートあたりの戸数は少なくなります。しかし、一度入居が決まれば入居期間が長く、収入が安定しやすいのが特徴です。
空室リスクを抑えるためには、入居者へのアピールポイントがあると良いでしょう。たとえば、共働きが増えている現在、食器洗浄乾燥機、浴室乾燥機など家事の時短を叶える設備は需要があります。あらかじめこれらの設備があると、他の物件との差別化を図ることができるでしょう。
シニア向け住宅に必要な要件
シニア向けのアパートを建築する場合は、バリアフリー構造や、車椅子の使用を想定した建物にする必要があります。段差をなくす、階段部分にスロープを付ける、適切な箇所へ手すりを設置するなどの工夫を行いましょう。また、車椅子で利用できる共用エレベーターを設置し、車椅子ですれ違うことができる広さの廊下を確保することも必要です。
転倒予防の対策としては、エントランスや廊下には滑りにくい床材を使用するのがおすすめです。タイルなどの素材は、乾いているときには問題がなくても、雨や雪で濡れたときに滑りやすくなるものもあるため注意が必要です。
また、開き扉は、車椅子の使用が難しいだけでなく、転倒リスクも高まります。扉は自動扉や引き戸にするなどの対策を行いましょう。
ペット飼育のためにあると嬉しい設備
コロナ以降、ペットを飼う人が増えたためペットと一緒に暮らせるアパートも需要があります。ペット飼育可のアパートでは、散歩から帰ったときにエントランスにペットの足を洗うことができる水道設備があると便利です。
また、つるつるした素材の床はペットの足腰に負担をかけるため、エントランスや室内の床には、シリコンコートなど滑りにくい素材のものを採用しましょう。クロスは、傷や汚れに強く、消臭効果があるものがおすすめです。ペットくぐり戸やキャットウォークの設置などもアピールポイントになるでしょう。
さらに、ペット飼育可のアパートでは、ペットの足音や鳴き声に対して防音対策がされていることも重要です。防音サッシや遮音ボードの設置、吸音性のある断熱材の利用などを検討しましょう。
これから求められる住宅のあり方
少子高齢化や、核家族化が進んでいる日本では、人々のライフスタイルの変化や人口の推移に合わせて求められる住宅のあり方も変わってきています。アパート経営を成功させるためには、時代のニーズを把握し、地域の特性に合わせた設計をする必要があるでしょう。
ここからは、日本の人口推移などのデータをもとに、これから求められる住宅とはどんなものなのか解説していきます。
我が国の人口推移
まず、2022年に厚生労働省が発表した「世帯数と平均世帯人数の年次推移」を見てみましょう。
【参考資料】厚生労働省 国民生活基礎調査の概況
1953年の1世帯あたりの人数は5.0人でしたが、その数は年々減少し、2022年には2.25人となりました。1世帯あたりの人数が低下していることに伴い、世帯数は増加していることが分かります。
次に、2022年の世帯構造をみてみましょう。
【参考資料】内閣府 貸家建設の動向について
「単独世帯」が全体の32.9%と最も多く、次いで「夫婦と未婚の子のみの世帯」が25.8%、「夫婦のみの世帯」が24.5%となっています。
この理由としては、未婚者の増加や出生率の低下が挙げられます。今後も、単身者や夫婦のみの世帯は増える見通しです。したがって、アパート経営の観点からは、シングルまたはカップルをターゲットにしたアパートの需要が高まると考えられるでしょう。
現在のアパートの需要について
日本において、世帯数は年々増加していることが分かりました。それでは、現在アパートの需要はどの程度あるのか気になるところではないでしょうか。
内閣府が発表した「貸家建設の動向について」の資料を見てみると、貸家着工戸数は、主に首都圏で前年比を上回っていることが確認できます。
【参考資料】内閣府 貸家建設の動向について
理由としては、首都圏に働き口や教育機会が集中しているため、就職や大学進学などで都心に出てくる人が多いことが考えられます。
以上のデータから、単独世帯が増加している日本では持ち家よりも貸家が多く選ばれる傾向があり、主に首都圏において賃貸アパートの需要は高いと言えるでしょう。
木造アパートができること
アパート経営を行うには、建築するエリアごとのニーズを把握して対応していくことが重要です。木造の強みである可変性の高さやニーズに合わせて設計しやすいという特長を生かして、アパート経営を成功に導きましょう。
ここからは、木造アパートができることについて解説していきます。
木造は建て替えやリノベーションがしやすい
木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して解体費が抑えられるため、大規模な建て替えやリノベーションがしやすいというメリットがあります。
たとえば、アパートを建てて数十年が経つと、近くに駅や大型スーパーができた、学校ができたなど周辺環境が変化することがあります。周囲の変化に伴い、はじめは単身者向けにアパートを建てたけれどファミリー世帯が増えてきた、高齢者が増えてきたので、シニア向けのアパートに変更したいということもあるかもしれません。
木造ならば可変性が高く建て替えやリノベーションがしやすいため、住む人の暮らしや家族構成、時代や環境の変化に合わせて住宅の形を変えることが可能です。
万が一、将来的に建て替えやリノベーションを検討するときにも、他の構法よりも費用を抑えることができます。
自由設計でニーズに応えやすい
木造は、鉄骨や鉄筋コンクリートと比較して設計の自由度が高く、単身者、ファミリー、高齢者向けなど、ターゲットとする層のニーズを満たす柔軟な設計が可能です。
また、木材は比較的軽量で扱いやすく加工しやすいため、強度さえ確保すれば、好みの外観や個性的なデザインのアパートも実現できます。
建築コストが抑えられる
木造は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して、建築コストを抑えることが可能です。
木材のコストが鉄筋やコンクリートに比べて単価が低く、また建物重量が軽いため基礎工事や地盤改良にかかる費用などを抑えられることも理由にあります。
例えば、地域のニーズを踏まえてオーナー様がファミリー世帯での間取りを希望していても、鉄筋コンクリート造で建築すると、面積や戸数によっては家賃収入の面でそれほど利回りがあがらない可能性があります。この場合、同じ面積でも戸数を多くできるシングル向けの間取りに変え、家賃収入を増やすことを優先して考える必要があります。
一方、木造であれば、建設時のコストを抑え、地域のニーズやオーナー様のご要望に沿ったファミリー向けの間取りを建築することが十分に可能になります。
このようにオーナー様にとって間取りの選択肢が広がることは大きなメリットになるのです。
木材の持つ特徴を生かせる
木材は調湿性や断熱性を持ち、適度な湿度と温度を維持する働きがあります。また、木の香りや手触りにはリラックス効果があるため、高齢者や子どものいるファミリー世帯にも好まれます。
さらに木の床は、歩行時に足腰にかかる衝撃を和らげ、転倒時に大けがをするリスクを下げることもメリットの一つです。そのような木材の質感を活かせる木造アパートは、子どもから高齢者まで、快適に暮らせる住まい作りに貢献します。
まとめ
アパートの経営では、地域別の人口推移や動向などの特性を把握し、エリアごとにターゲットとするライフスタイルに合わせて設計する必要があります。単身者が増加傾向にある日本では、これからも賃貸アパートの需要は高まり続ける見通しです。
アパート経営は、数十年の期間を見越して計画を練ることが大切ですが、その間に周辺環境の変化や入居者のニーズが変化することも考えられます。そのような場合にも、建築コストが抑えられ、ニーズに答えられる可変性の高い木造は、自由な設計や建て替えがしやすく、柔軟に対応することができます。
タカマツビルドは、単身者向けやファミリー向け、シニア向けの設計はもちろん、ペット飼育に対応できるアパートの建築実績も多数。豊富な実績と経験をもとに市場の動向を調査し、オーナー様の想いやコンセプトを叶えるプランニングを提案いたします。
「どの層をターゲットにするか迷っている」という方も、まずはお気軽にお問合せください。