2024/05/02

【木造建築とSDGsの関係って?】脱炭素社会に向けて木造が注目されている理由を解説!

脱炭素 SDGs 木造

近年、「SDGs」や「脱炭素化」という言葉を聞く機会が増えてきました。

深刻な環境問題の解決に向けて、世界中が取り組んでいるSDGsや脱炭素化の取り組みに、木造建築が重要な役割を期待されていることをご存じでしょうか。

今回は、木造建築が環境問題の解決に貢献できる理由と、木造建築の今後についてまとめました。

SDGsとは?

SDGsとは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」のことで、2030年までに世界の課題を解決するための国際目標です。

SDGsは、貧困や教育、ジェンダー平等、気候変動、環境など多岐にわたる分野において目標が定められていますが、これらの内容は互いに影響し合っています。

たとえば、気候変動について取り組むことは、間接的に「陸の豊かさを守る」や「住み続けられるまちづくり」などの目標にもつながります。

さらに、異常気象による海面上昇や干ばつを防ぐことができれば、「海の豊かさをまもろう」や「飢餓をゼロに」という目標の達成にも貢献することができるでしょう。SDGsは、経済、社会、環境などのあらゆる課題を同時に解決することを目指した、すべての国が取り組むべき共通目標です。

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SDGsと脱炭素との関係

SDGsには「気候変動に具体的な対策を」という目標があり、その対策として有効だと考えられているのが、脱炭素化です。

脱炭素化とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取り組みのこと。2015年に制定された地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑えるという目標を掲げています。

しかし、2021年に出された調査報告書によるとこのままのペースでは2040年には1.5℃に達してしまうと言われています。

それでは、もしこのまま人類が二酸化炭素の排出を続け、地球の気温上昇を1.5℃以内に抑えることができなかった場合、世界はどうなってしまうのでしょうか。

地球の平均気温が1.5℃以上上昇すると、世界各地の砂漠化や異常気象、海面上昇、生態系の破壊、水資源の枯渇、それによる飢餓など各側面において深刻な問題が発生することが予想されています。

すでに地球温暖化が加速し、気候変動による異常気象や災害が頻発している現在において、脱炭素化は地球全体で早急に取り組むべき重要なテーマなのです。

日本が目指す脱炭素の目標

政府は、温室効果ガス排出量の大幅な削減を目指して制定された「地球温暖化対策計画」を2021年に改定し、2030年に温室効果ガスを46%削減すること、さらに2050年までに温室効果ガスの実質排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを表明しました。

カーボンニュートラルとは、排出した量と同じ量の温室効果ガスを吸収または除去することで、「実質の排出量をゼロとしましょう」という取り組みです。

つまり、排出する温室効果ガスを削減することはもちろん、吸収する働きについて考えることが重要になるのです。

なぜ木造建築がSDGsに貢献できる?

世界的に環境問題への対策が活発化している現在、建築業界にもSDGsや脱炭素化への取り組みが広がってきています。

そこで注目されているのが、森林や木材による二酸化炭素を吸収する働きです。特に建築分野では、木材の利用を積極的に進めることで脱炭素化に貢献できるため、政府も法律を整備して積極的に建築物の木造化・木質化を推進しています。

ここからは、木造建築がSDGsにどのように貢献できるのかについて具体的に解説していきます。

二酸化炭素の削減に貢献できる

樹木は、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収します。吸収された二酸化炭素は、木を切って木材として利用してもそのまま木材の中に固定されて残り、空気中に排出されることがありません。

そのため、木材の利用量が増えると、地球温暖化防止に役立ちます。この働きを、木材の炭素固定作用と言います。

また、木造住宅がカーボンニュートラルに貢献できる理由として、建築時に排出する二酸化炭素の量が大幅に少ないという点も挙げられます。

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参照URL:木材利用の動向(林野庁)

上記の図を見ても分かるように、木造住宅の中に蓄えられている炭素量は鉄筋コンクリート住宅や鉄骨プレハブ住宅の約4倍、材料製造時の炭素放出量は鉄筋コンクリート住宅の4分の1以下となっています。

木造建築が増えると、建築時の炭素の排出量削減と木材が持つ炭素固定作用の両方から、二酸化炭素の排出抑制にアプローチすることができるのです。

木材の持続可能性

建築技術の向上による木造建築物の耐久性の向上や、木造住宅のリノベーションのしやすさは、SDGsの「住み続けられるまちづくり」の目標達成にもつながります。

木造の場合、ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて間取りを変えることも比較的簡単にできるため、長期間住み続けられる住まいづくりが可能です。

たとえば「家族が車椅子を使用することになったので間仕切りを無くしたい」「親世代と一緒に住むことになったから間取りを変更したい」といった、生活様式の変化にも柔軟に対応することができます。

国土交通省も、木造住宅の長寿命化を図るために配慮すべき事項として「可変性の確保」を挙げており、世代を超えて使い続けられる木造住宅を推進しています。

森林の管理ができる

木造建築は木を切るため、「森林破壊になるのでは?」という声を聞くことがありますが、実はそうではありません。木を適度に伐採し資源を循環させることは、健全な森林を作るために必要なことです。

間伐や伐採を行い、森の中に太陽の光が入るようになると、木が土の中にしっかり根を張ることができます。そうすることで、台風による土砂崩れなどの災害に強い森林を作ることができるのです。

また、適度に整備された森林は多様な動植物が生息するようになるため、生態系の保護にも貢献でき、SDGsの「陸の豊かさを守る」という目標達成にもつながっていきます。

成長した木は二酸化炭素を吸収する機能が低下していくため、「大きくなった木を伐って、新しく木を植えて若い木を育てる」というサイクルを繰り返すことが、森林の保護と二酸化炭素排出抑制の両方の面から見て重要なのです。

再利用しやすい

木材は、リサイクルしやすい素材です。

建築分野においては、木造住宅を解体した時に出る解体材を家具用の木質ボードや燃料として再利用したり、細かく砕いてファイバー化し、断熱や防音、防湿作用を持つ建材として生まれ変わらせたりと、環境負荷に配慮した取り組みが進められています。これは、SDGsの「つくる責任つかう責任」という目標に関連します。

最終的に不要になった木材は土に還し、その土でまた新たな木を育てるというように形を変えながら最後まで繰り返し利用できます。

木材は、木を植えて育てることで素材そのものを何度でも再生産することができる貴重な資源です。大量生産、大量消費、大量廃棄を見直し、資源を効率的に活用できる木造建築物は、環境に優しい建物と言えるでしょう。

脱炭素社会に向けた建築業界のこれから

環境省の資料「2020年度温室効果ガス排出量」によると、建設業・製造業を含めた産業部門は日本全体の二酸化炭素排出量の約1/3を占めていることが分かります。

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引用:2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について

前章でも述べたように、建物の建築は素材の調達から製造過程に至るまで、多くの二酸化炭素を排出します。建築業界が環境に与える影響は大きいため、より環境に配慮した取り組みが求められるようになるでしょう。ここからは、現在国が取り組んでいる施策をご紹介します。

国が進める木造建築

環境問題を改善するためには、建築業界が脱炭素化に取り組むことは必須と言えます。そこで、国は、法律を制定して建築業界の脱炭素化を後押ししています。

木材利用促進法

民間施設を含む建築物一般について原則木造化を図るとともに、内装等の木質化を推進する法律です。林業や木材産業に関わる事業者に対して、木材の安定供給や、建築用木材の製造技術開発・普及を図り、木材の利用を促進しています。

都市の低酸素化の促進に関する法律

市街化区域の交通や建築物において二酸化炭素の発生を低減させることを目的に、2012年に定められた「エコまち法」と略される法律です。

低炭素建築物と呼ばれる、二酸化炭素の排出を抑えた建物を建築した場合、所得税の軽減や借入金利の引き下げなどの優遇措置が受けられます。

低炭素建築物と認定されるには、定められたエネルギー消費基準を満たしていることや、節水対策、躯体の低酸素化、エネルギーマネジメント、ヒートアイランド対策などの低炭素化に資する措置を2項目以上講じていると認められる必要があります。

建築物省エネ法

建築物省エネ法の法改正が行われ、2025年度から床面積の合計が300平米以上の新築建築物は省エネ基準に適合することが義務付けられました。

省エネ基準に適合するためには、壁や屋根、窓などに一定の断熱性能を持たせることや、冷暖房や換気、給湯など一定性能以上の設備を設置することが求められます。
参考資料:01扉.indd (kenken.go.jp

今後目指すべき木造建築のあり方

建設業を含む産業部門が温室効果ガスの排出量の1/3を占めていることから、建築業界もSDGsの目標達成や脱炭素化の実現に向けた対策に積極的に取り組んでいく必要があるでしょう。

政府は、将来目指すべき建築物のあり方として、2030年までに省エネ基準をZEH・ZEBの性能に引き上げることや、新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を導入すること等を掲げています。ZEH・ZEBとは、建物で消費する年間のエネルギー収支ゼロを目指した住宅のことを指します。建築業界においても脱炭素化に向けた対策に積極的に取り組んでいく必要があるのです。

参考資料:2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策を取りまとめました (METI/経済産業省)

まとめ

木造建築はSDGsの目標達成や、脱炭素化に大きな役割を果たすことを解説してきました。環境問題は、地球規模で早急に取り組むべき重大な問題であり、SDGsや脱炭素化社会の実現のために今後ますます木造建築の需要が高まっていくでしょう。

タカマツビルドは、高松グループ各社の得意分野を連携し、社会への貢献を目指した木造住宅事業を展開しています。木造アパート経営について気になるという方は、ぜひ一度ご相談ください。

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