2024/03/15

【木造アパートは社会貢献ができる?】その理由と木造建築の今後について解説!

木造アパート 社会貢献

木造建築は、循環型社会の実現や、環境の保護の観点から見て社会貢献度が高く、今注目されている工法です。
近年では、木造建築を推進する法律が制定されるなど、政府も木造建築の普及を後押ししています。

この記事では、木造アパートが社会貢献に役立つ理由と木造建築の今後についてまとめます。ぜひ最後までご覧ください。

いま木造が注目されている

深刻化している環境問題への取り組みとして、木造建築が見直されています。
2010年には林野庁が「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を施行し、5階建て以下の低層の公共建築物は原則木造化していくことを発表しました。

木材は、近年推進されているSDGsや循環型社会に貢献できる環境に優しい素材なのです。

環境保護の観点からみた木材の特徴

木材を作る過程で木を切りだす必要があるため、木造建築が環境保護につながると聞くと疑問に思う方もいるかもしれません。

木造が、循環型社会の達成と森林保護の観点から見て、有効な手段であると評価されている理由を1つずつ解説していきます。

再生可能な資源

社会全体として資源の再生産が推進され、鉄や、コンクリートのリサイクルにも取り組んでいますが、実際のところ、リサイクルする時に二酸化炭素が排出されることが問題となっている現状があります。また、鉄やコンクリートは、資源そのものを再生産することはできません。
参考資料:建設物価調査会

一方、木材は再利用ができるだけでなく、森林から木そのものを再生産することができます。木材は、適切な量の木を伐採し、使った分だけまた木を植えて育てることで、繰り返し使い続けられる貴重な資源なのです。

製造にかかるエネルギーが少ない

材料の製造や加工にはエネルギーが必要です。大きなエネルギーを消費すると、同時に二酸化炭素が放出されます。材料別の炭素放出量を見てみましょう。

参考資料:日本木材総合情報センターを参考に作成

表を見て分かるように木材は、鋼材、セメント、アルミニウムなど他材料と比較して、製造時にほとんど二酸化炭素を放出しません。木材は、脱炭素化を推進している現代の建築材として適した素材であると言えます。

CO2の排出を抑制

木材は、二酸化炭素を吸収して貯留する機能があります。つまり、建築材として木材を多く使用すると、木材の中に二酸化炭素を保持することができ、大気中の二酸化炭素の上昇を抑制するのに役立ちます。

この働きから、木造建築は「都市の森林」とも呼ばれます。木造建築を推進して都市の森林を増やすことは、二酸化炭素の貯蔵、排出抑制の観点から、地球温暖化防止に貢献できるのです。

木造アパートが社会貢献に役立つ理由

日本は現在、持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みを進めています。その中で、建築業界ができる取り組みの1つに、大規模建築物の木造化があります。

それでは、なぜ木造の大規模建築物を建てると社会貢献になるのでしょうか。
ここからは、木造アパートが社会貢献に役立つ理由について解説していきます。

脱炭素化に貢献

脱炭素とは、地球温暖化抑制のために、二酸化炭素の排出量をゼロにしようという取り組みのことです。日本は、2030年に二酸化炭素の排出量46%減、2050年にはカーボンニュートラル、つまり二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標の達成を目指しています。

建築物のカーボンニュートラルの達成について検討した研究では、木造建築の拡大や、建築物の長寿命化など複数の方法を組み合わせる必要があることが分かりました。

参考資料:国立環境研究所

先ほど述べたように、木材は製造時のエネルギーが少なく、二酸化炭素を貯留する性質を持ちます。
そのため、一般的な住宅よりも規模の大きい木造アパートの場合、さらに多くの二酸化炭素貯留効果が見込め、より脱炭素化に貢献することができます。

ただし、注意が必要なのが日本の公式な温室効果ガス排出勘定では、輸入木材の炭素貯蔵が計上されない点です。カーボンニュートラル達成のためには、国産材を利用した木造建築の拡大を推進する必要があり、現状の国産材自給率では厳しいという試算がされています。

2022年の日本の国産材供給率は40.7%で、建築用材に限定すると49%と発表されています。つまり、約半分をより安価な輸入木材に頼っている状態です。

これを受けて、林野庁は、木造化に必要な知見を有する設計者・施工者の育成支援や、低コスト化のための技術開発にも取り組んでいます。

循環型社会に貢献

可能な限りリユース、リサイクルが実現されている社会を「循環型社会」と呼びます。木材は「使う→植える→伐採する」という流れで持続的な資源の利用が可能です。

それだけでなく、不要になった木材は、紙やバイオマスエネルギーという燃料に再利用ができます。
そして最終的には、土に還し、また新たな木材を育てる…というように、形を変えて何度も何度も利用が可能です。木材を建築資材として利用することが、結果的に資源を守ることに繋がります。

森林資源の循環を促進

成長した木から順に伐採し、建築資材等として利用した収益によって次の木を植えて育て、森林を作っていくというサイクルを森林資源の循環と言います。

環境庁は、国土の森林面積は過去約100年間変化していないのに対し、森林による二酸化炭素の吸収量は減少傾向にあると発表しました。その理由は、森林の高齢化です。我が国の人工林は、終戦直後や高度経済成長期に植えられたものが多くを占めています。

高齢の木は光合成の活発な若木と比較して二酸化炭素の吸収量が減少してしまうため、環境保全のためには、森林資源の循環を適切に行い、若い森林を増やすことが重要です。

つまり、アパートなどの木造建築を増やすことで、木材利用の循環を促すことができるのです。

森林保護に役立つ

森林保護のためには間伐が必要です。間伐とは、森を健康的に保つために木の一部を切ることです。「木を切るのに森林保護になるの?」と思うかもしれませんが、実は森林は手入れをしないと、木が密生して太陽の光が届かず、十分に育つことができません。

日光不足で木がやせ細ると土の中で根が張らず、雨や土砂で地表が崩れて森が荒廃してしまいます。

また、間伐で切り取られた木材は、間伐材と呼ばれ、良質なものは建築材として使用する他、色合いを利用した家具や、木製ストロー、バイオ燃料など様々な製品としてリサイクルされています。
適度な間伐は、森林の機能性維持と資源の循環を促し、結果として森林を守ることにつながるのです。

木造の建物は年々増加している

政府は平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を制定し、木造建築の普及を推進しました。この法律は、脱炭素化や循環型社会の形成、森林の保護などへの貢献のために、公共建築物の木材利用を促進する目的で制定されました。

この取り組みにより、令和2年では低層公共建築物の木造比率が10年前と比較して10%以上、公共建築物全体で5%以上増加しています。

参照:令和2年度の公共建築物の木造率について:林野庁

近年では、木造高層ビルの建築も行われるようになってきました。社会のニーズに合わせて、建物の木造化・木質化は今後も増加していくと予想されます。

建築基準法の改正

さまざまなメリットがある木造建築。国も建築物の木造化を進めるために法改正を行っています。

例えば、令和4年に施工された建築基準法の改正では、木造の建築確認検査の対象を非木造と同等の規模とすることや、木造住宅の高さ規制の緩和、中大規模建造物の防火既定の合理化などの内容が変更されました。

併せて、木造建築物の耐火基準が緩和され、今までよりも大規模な建築物を木造で建てられるようになりました。耐火建築物の主要構造部では、防火上及び避難上支障がない範囲で木造を使用することが可能になるなど、室内の木質化も推進されています。

SDGsによる推進

SDGsとは、国連が掲げる持続可能な開発目標のことです。今まで解説してきた、再生可能な木材の性質や、木造が環境に与える影響についてはSDGsの「気候変動に具体的な対策を」という目標に合致しています。

また、木造の建物は断熱性や調湿性に優れ、快適な室内空間を作ることができます。
高齢者施設においては、木材のもつクッション性によって足腰の負担が和らげる、転倒時に骨折などの大けがのリスクを軽減できるというメリットがあり、これらはSDGsの「すべての人に健康と福祉を」という目標に通じると言えるでしょう。

さらに、森林資源の循環を促すことで、山間部の経済や雇用の創出、国土や水源の保全、生物の多様性の保護等、様々なSDGsの目標達成に貢献することができるのです。

今後の社会において木造建築は需要が高まる

脱炭素化や循環型社会の促進、SDGsへの取り組みが推奨されている社会情勢に合わせて、政府も木造建築に関する法改正を行っています。

平成22年に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が、令和3年に改正されたことからも、ますます木造化を推進する動きが高まっていることが分かります。

法改正による木造化の推進

平成22年に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」により、国をあげて木材の利用に取り組んできました。この法律は、低層の公共建築物について原則すべて木造化を図るという内容のものです。

しかし、令和3年の法改正で「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」と名称が変わるとともに、木造化の対象が、公共建築物だけでなく民間建築物にまで拡大することが定められました。また、内装や消耗品等もできるだけ木材製品を利用する木質化を推進し、森林資源の活用を促しています。

さらに、農林水産省の特別機関として木材利用促進本部が設置されるなど、ますます建築物の木造化に取り組むことが期待されています。

まとめ

木造は、日本の森林保全や、地球環境の保護などにおいて建築産業の重要な一角を担っていることをご説明してきました。現在では、木造化を推進する法律の改正や、建築技術の進歩によって中大規模な木造の建物も建築が可能となってきています。

木造アパートは、一般的な住宅よりも規模が大きいため、木造化、木質化のメリットを最大に発揮することができるでしょう。木造アパートの経営を考える場合には、法律の改正や、社会の流れに対応していくことが求められます。

タカマツビルドでは、高松コントラクショングループのシナジーを結集した総合力で、市場状況に柔軟に対応し、収益を生み続ける賃貸管理のサポートが可能です。

木造アパートの経営を考えている方や、土地活用でお困りの方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。

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