2024/05/31
【地震対策】耐震✕減震で木造アパートを守る!耐震・制震・免震・減震の違いとは?
「木造アパートにベストな地震対策は?」
「耐震、制震、免震、減震の違いをわかりやすく教えて欲しい」
「予算内で最も費用対効果の高い地震対策を施したい」
地震大国日本において、地震対策は欠かせません。とくに、アパートを経営するオーナー様にとって、建物に大きな被害をもたらしかねない地震は避けられない悩ましい災害です。
今回は、オーナー様の大切な資産と入居者様の安全を地震から守る、木造アパートの地震対策についてお届けします。
この記事を通じて、木造アパートの地震対策について理解を深め、最適な対策を選ぶための参考にしていただければ幸いです。それでは、建物の地震対策の種類からご覧ください。
目次
【地震対策】耐震・制震・免震・減震それぞれの違いとは?
木造建築物を地震から守る主な方法には、耐震、制震、免震、そして新しく加わった減震の4つがあります。
耐震 | 制震 | 免震 | 減震 | |
特長 | 建物自体が地震に耐える | 揺れを吸収して制御する | 地震力を遮断して揺れを建物に伝えない | 建物に伝わる地震の力を減らす |
仕組み | 駆体を強化 | ダンパー等の制震装置を設置 | 地面と建物の間に免震装置を設置 | 基礎と土台の間に装置を設置 |
メリット | ・耐震等級による地震保険料の割引 ・耐震等級によるフラット35の金利優遇 | ・建物のねじれが抑制されダメージを受けにくい ・装置の設置が比較的容易 | 建物や家具の倒壊によるダメージを最小限に抑える | ・他の装置に比べてコストが低い ・設置が容易 ・工期が短い ・建物や家具へのダメージ低減効果が比較的高い |
デメリット | 等級を上げるほど構造材のコストが上がる | 設置箇所が限られる | ・コストが他の装置に比べて高い ・装置設置の難易度は高い | 新しい技術のため事例数が少ない |
使用場所 | 一般住宅〜高層ビルなど | 一般住宅〜高層ビルなど | 高層ビルや病院など大規模な建物 | 一般住宅~木造アパートなど |
それぞれどのような仕組みなのか、そして、どの仕組みが木造アパートに最適なのかをわかりやすく解説します。
耐震とは?
耐震とは、建物自体の強度を高めて、地震による揺れに「耐える」構造のことを指します。適切な強度を持つ柱や壁を適切な量で使用し、建物を損傷や倒壊から守ります。
具体的には、強固な耐力壁などで構造体をしっかりと固めることで、地震による水平方向に働く力に対抗します。
人命を守るために建築基準法に「耐震基準」が定められているように、耐震は、最も重要かつ基本的な建物の地震対策です。建築が許可された建物は、すべてある程度の耐震性を持っています。
一方で、人命だけでなく建物自体も守るために定められている「耐震等級」を上げるためには、耐震基準を満たすよりもさらに耐力壁や耐震金物を追加することが必要です。ただし、強化するほどに構造材にかかるコストが高くなる点には注意が必要でしょう。
耐震の仕組みは地震の揺れを建物で直接受け止めるため、繰り返しの揺れによって建物へのダメージが蓄積していくという側面があります。そのため、耐震にはその他の地震対策を組み合わせるのが望ましいです。
地震対策を組み合わせることで、費用を抑えつつ建物への影響をより軽減し、被災後も住み続けられる可能性を高めることができます。
免震とは?
免震とは、基礎と建物を断絶し、地震の揺れを建物に「伝えない」ことで揺れから免れる技術のことを指します。
具体的には、地面と建物の間にゴムなどの素材を使った免震装置を設置し、できる限り地震の力を逃がす仕組みです。建物に伝わる地震力が少ないので、タワーマンションの高層階での揺れが抑制され、家具転倒などによる被害の抑制効果があります。
免震装置は費用が非常に高いこともあり、免震装置を設置するまでは検討されることは少ないです。過剰と考えてもいいでしょう。木造アパートは低層建築であるため、別の地震対策が適しています。
制震とは?
制震とは、制振装置を用いて地震による揺れを「吸収し、制御する」技術のことを指します。建物へ伝わる地震の力を、ダンパーなどの制震装置で吸収し、建物の変形などを防ぎます。
ダンパーという言葉になじみがない方は、自動車のサスペンションを思い浮かべてみてください。サスペンションの内部にあるダンパーがスプリングの振動を抑えるのと同じように、制震ダンパーは地震による揺れを抑えます。
建物を揺れにくくするとともに、揺れが発生した場合でも素早く収まるようにすることで、建物へのダメージを低減することが可能です。そのため、建物の補修費が発生するリスクが低くなります。
ただし、制震装置の材質や設置する数、機能の高さによって、かかるコストは異なります。
減震とは?
減震とは、地面から建物に伝わる地震の力を「減らす」という技術のことを指します。
基礎と土台の間に減震装置を設置し、建物に伝わる地震力を軽減させます。
これにより、オーナー様は地震による建物修繕費のリスクを低減でき、入居者様には家具の転倒や落下のリスクが少ない安全な住環境を提供することができます。
減震装置と免震装置は、どちらも「なるべく建物に揺れを伝えない」という考え方に基づいていますが、設置コストは減震装置の方が大幅に低くなります。
木造アパートの経営において、コストを抑えることは重要です。減震装置は設置が容易かつ費用対効果が高いことから、木造アパートの地震対策として、より適した選択肢と言えるでしょう。
減震は比較的新しい技術であるため、他の地震対策の技術と比べると、実例はまだ少ないです。しかし、減震装置の性能は実験や実際の地震現場において確認されており、地震による被害を抑えるための有効な手段とされています。
このように、地震対策の技術「耐震」、「制震」、「免震」、そして「減震」にはそれぞれ特性があります。
適切に選択するためには、建物の規模や予算などを考慮することが重要です。また、複数の地震対策を組み合わせて、建物の安全をより高めることも非常に有効です。
では、木造建築の場合、どの地震対策を優先させるべきかを見ていきましょう。
木造建築の地震対策は「耐震」が基本
木造建築物における地震対策の基本は「耐震」です。建物が適切な耐震性を持たない場合、他の地震対策(制震、免震、減震)の効果は十分に発揮されません。つまり、耐震性を高めることは地震対策の最も重要な要素と言えます。
タカマツビルドでは、人命だけでなく建物自体を保護するための基準、「耐震等級」も重視しており、その中でも最高レベルの「耐震等級3」相当の設計基準を採用しています。
これは「耐震等級1」の1.5倍の耐震性を持つもので、震度7の大地震が繰り返し発生しても、建物に住み続けることが可能であることを想定したものです。
以下のグラフをご覧ください。
参照:国土交通省住宅局「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント
これらのグラフは、平成28年に発生した熊本地震の際、日本建築学会が益城町中心部で実施した調査結果をもとにしています。
耐震等級の基準が用いられるようになった平成12年6月以降と以前では、木造建築の被害割合が大きく減少していることが分かります。また、同じ平成12年6月以降の建築物でも、「耐震等級3」の基準を満たす建物の被害はさらに少なくなっています。建物自体に強い耐震性を持たせることにより、長く快適に暮らしていただける環境を整備できるのです。
なお、3階建て以上の建設をご希望される場合、「耐震等級3」相当の設計基準での対応が難しい可能性がございます。条件等によっても異なりますので、詳細はお問い合わせください。
【費用対効果】耐震×減震の組み合わせが木造アパートに最適です!
では、耐震性を確保した上で、どの地震対策と組み合わせるのが最適でしょうか。免震、制震、減震それぞれにはメリットとデメリットがありますので、それを理解した上で選択することが重要です。
ここからは、木造アパートにおいて、最も費用対効果が高い地震対策の組み合わせについて詳しく解説します。
木造アパートにおける地震対策として、最も費用対効果が高いのは「耐震」と「制震」もしくは「減震」の組み合わせです。
とくに、減震は免震と同様に絶縁工法を採用していますが、そのコストは免震構造の約1/10とされています。
費用 | |
耐震 | 耐震等級1:建築基準法と同レベルのため追加費用なし 耐震等級2~3:40~100万円程度(耐震等級取得用の申請費用含む) |
制震 | 40〜100万円程度 |
免震 | 500万円程度 |
減震 | 20万〜50万円(住宅の場合。木造アパートは規模により異なります) |
具体的なコストは、建物の規模や設置状況により変動する可能性がありますが、限られた予算の中で最も地震の力を効果的に軽減することが期待できます。
また、アパート経営を安定して継続するには、初期費用だけでなく、長期的な視野でのメンテナンス費用も重要な要素となります。
ここでご紹介したいのが、「UFO-E摩擦減震装置」です。
「UFO-E摩擦減震装置」は、摩擦を利用して建物に伝わる地震力を低減させる小型の減震装置です。
地震の周期と建物の周期が一致すると、共振現象が起こり、建物の揺れが増幅します。これを防ぐためには、地震のエネルギーが建物に伝わらないようにすることが重要です。
「UFO-E摩擦減震装置」を基礎と土台の間に複数設置することで、地震力を分散させ、建物へ伝わる揺れを低減させることができます。
とくに大型地震に対して効果が高く、阪神・淡路大震災クラスの揺れを半分に減震することが可能です。
また「UFO-E摩擦減震装置」は、ねこ土台(基礎と土台の間に設置して床下換気を行う方法)として、土台を湿気から守る役割も果たします。
コスト面で見ても、「UFO-E摩擦減震装置」のコストは、先述の通り一般的に免震装置の約1/10とされています。
「UFO-E摩擦減震装置」の参考価格は、戸建て住宅の場合、一棟あたり約20万円から50万円です。木造アパートに設置する場合は、その規模や設計によって設置個数および費用が増減します。地震対策の中では費用を安く抑えられる傾向にありますので、詳細についてはぜひご相談ください。
「UFO-E摩擦減震装置」は手のひらに乗るサイズなので、取扱いやすく、設置工事も容易です。また、メンテナンス費用がかからないというメリットもあります。その低いコストにもかかわらず、高い効果が実証されています。
2016年4月14日と4月16日に連続して震度7を記録した熊本地震では、震源地の益城地区において「UFO-E摩擦減震装置」が設置された建物には被害が見られませんでした。
(東洋大学理工学部建築学科の香取教授による調査結果)
益城地区の「UFO-E摩擦減震装置」を設置した住宅では、60%以上の減震効果があったと推定されています。
このように、「UFO-E摩擦減震装置」はコストパフォーマンスに優れ、大型地震に対する効果が非常に高い減震装置です。
私たちタカマツビルドでは、積極的に地震対策としてのご提案を行っております。
安全・安心のアパート経営を実現するために、最適な地震対策をご一緒に検討させていただきます。ぜひ、お気軽にご相談ください。